岡崎のむかしばなし｜１０月の放送

「たんまつさん」
　むかし、勘左衛門という人が住んでいました。ある日勘左衛門はぜんそくにかかってしまいました。だんだん体が弱り、親戚が見守る中、「まつ…、まつ…」とつぶやいて亡くなってしまいました。親戚の人たちは勘左衛門のせめてもの供養にお墓の横に小さい松の木を植えました。すると・・・
「ごんべえと古ぎつね」
　むかし、牧内の熊野の森にたくさんの狐が住んでいました。その狐が田畑を荒らすので村の人たちは大変困っていました。たくさんの狐の中にひときわ大きい体の古狐がいました。狐退治で名高いごんべえが退治しようとしましたがどうしてもうまくいきませんでした。そこで村人はミカン畑に小屋を建てて見張りをすることにしました。ところが…

「お田植え観音」
　むかしむかし、田植えの時期に村中で病が流行ってしまいました。忙しい田植え時に働ける人がほとんどいませんでいた。村の人は疲れてふらふらです。ある朝いつものように田んぼに出かけると青々と早苗が植わっていました。それを見た大酒飲みでなまけもののじんべえは・・・
「山んば」
　これは、山に囲まれた静かな村でのお話です。ある夕方のことでした。村の子どもがひとりいなくなってしまったのです。村人はすぐに集まって子どもを探しましたが見つかりませんでした。そんな悲しい出来事が度々起こっていました。村人は口々に山んばの仕業だと話をしていました。次の年の夏、道に迷った女の子が泣いていると・・・

「てんぐ岩」
　四方を山に囲まれた田口の村のお話です。あるとき、田口の村から北の山のてっぺんまで道を作ろうとせっせと働いていました。仕事もずいぶん進み、あと少しで道もつながりそうです。しかし、あと少しのところで20人が束になっても動かないほど大きな岩が埋まっていました。村人が途方に暮れていると・・・
「大蔵ねこ」
　ずいぶんと昔のことです。正名の村の大蔵さんの家に大きなネコが飼われていました。大蔵さんのお婆さんはこのネコをかわいがり、よくお世話をしていました。ある年、お婆さんは病気で寝込んでしまいました。いく月か経ってもお婆さんはなかなか良くなりません。暑い夏も過ぎたころ旅の山伏が村を訪れ、御堂で休んでいると・・・